老坑水巌龍紋硯

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老坑水巌龍紋硯(ろうこうすいがんりゅうもんけん)

縦:94
最大横幅:57
厚さ:14

※天然の不定形をしておりますので、上記サイズは若干の異同を含みおきいただければと思います。 

数ある端溪諸坑の中でも最も名高く、あらゆる硯材の頂点ともいうべき、老坑水巌の小硯です。老坑は広東省肇慶、斧柯山で採掘されてきた、端溪硯石の最高の硯材です。その採掘は明代にさかのぼります。坑洞が深くなるにつれて、坑洞には水がたまるようになり、採石が困難になってゆきます。乾季を選び、水のたまった坑洞から数か月かけて水を汲みだして後、はじめて採石が可能になります。その難事業から、採石は清朝後期には十数年から数十年に一度、行われるだけになりました。現在は坑洞が完全に閉鎖されたため、再び採掘することは出来なくなりました。
あらゆる端溪諸坑にくらべて、その絶対数が非常に少ないため、市場では見ることすら稀な硯材です。また近代では、斧柯山対岸の沙浦から石色の似た硯石が大量に採石され、”老坑”の名で流通したために、大きな混乱をきたすようになりました。沙浦で採れる巨材は、見た目は派手ですが鋒鋩が粗慢で弱く、硯としての実用価値は劣っています。
また老坑近傍で新しい坑洞から老坑水巌に似た硯石が採石され、この新老坑も老坑水巌との弁別が難しい硯材です。水巌と同じく”老坑”として扱われることも多いのですが、やはり温潤細密という点では老坑水巌に及ばないところがあり、新老坑と区別しています。

老坑水巌は、狭い坑洞から採掘される原石は大半が三寸に満たないと言われます。そのため、硯板状に作硯される事が多いのですが、この小硯はあえて大きさを犠牲にして作硯されています。
天青気配の地色を持ち、硯頭から右斜めにかけて明瞭な火捺が覆っています。また墨堂下部と硯背には数条の細い水線が走り、その繊細さは老坑水巌特有のものです。また側面には天然の名残として、皮目を残しています。
質感は”水巌”の名に恥じぬ温潤典雅な趣で、その鋒鋩は非常に細密で整っています。この硯が老坑水巌であることを示すために、多言を要するということはありません。

作硯はおおらかな雲龍と海浪紋よりなり、清朝よりもやや明代に傾斜した趣を意図して作硯されております。小さな硯ですが、おそらくは倍の面積ほどの硯材より作硯されていると考えられます。

老坑水巌の特徴として、非常に硬い唐墨の古墨も滑らかに溌墨させることが出来ます。半面、膠の重い新墨、和墨や粒子の粗い松煙墨のご使用には適さないかもしれません。可能な限り上質な墨をお使いいただければ、長年使い込むごとに一層の温潤さが加わり、愛玩の念が増すことでしょう。
販売価格 114,000円(内税)
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