徽州曹素功　藝粟斎

寸法（不定形のため目安としてください）
長辺：11.3cm
最大幅：7.7cm
厚さ：1.2cm
現在の市場では見ることがまれな、良質な新老坑の端渓硯です。新老坑は、1970年代になって開鑿された端渓の硯坑の中でも、老坑水巌に次いで良質な硯材が採石された硯坑です。
新老坑硯の鋒鋩は、老坑水巌に次ぎ、麻子水坑に並ぶ優秀なものです。その鋒鋩は堅牢にして緻密であり、和墨から唐墨まで、さまざまな種類の墨を溌墨させ、滑らかな墨液を得る事が出来ます。
材は、硯面全体に水線、金線が走り、また珍しい氷紋が認められます。さらに天青の気配を示し、硯面左側に魚脳砕凍と黄胞を残しています。硯背にも金線、水線が走り、油延光が現れています。
意匠は君子の徳をあらわす竹葉を、霊芝を象った瑞雲が取り巻いています。霊芝雲は、天が君子の人徳を寿（ことほ）ぐ兆（きざし）とされます。墨池もその瑞雲を象って浅く彫られています。浅く繊細な刻線は、熟練した端渓の職人らしく、瀟洒な趣をみせています。
硯面には、小さな墨池がありますが、硯板状になっています。少量の墨を磨って用いるのに手ごろな大きさです。良い墨を使って、長年使用することにより、風合いを増してゆくでしょう。

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