徽州曹素功 藝粟斎
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新老坑饕餮(とうてつ)文小硯
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寸法(不定形のため目安としてください)
縦辺:9.5cm
最大幅:6.8cm
厚さ:1cm
現在の市場では見ることがまれな、良質な新老坑の端渓硯です。新老坑は、1970年代から80年代にかけて採石されました。戦後になって開鑿された端渓の硯坑の中でも、老坑水巌に次いで良質な硯材という評価があります。
新老坑硯の鋒鋩は、老坑水巌に迫る性能を持ち、その石質は非常に稠密かつ堅牢です。磨墨における性質は老坑水巌に次ぎ、麻子水坑に並ぶ極めて優秀なものです。
密生して強靭な鋒鋩を持ち、和墨から唐墨まで、さまざまな種類の墨を容易に溌墨させることができます。多少新しい油煙墨でも、膠によって粘ることなく、光沢豊かで滑らかな墨液を得る事が出来るでしょう。
地色は、端渓石らしい濃い赤紫色を呈し、新老坑に多く見られる油延光が硯面から硯背にかけてうっすらとかかっています。新老坑の中でも、比較的しっとりと、潤いに富んだ材質です。
数条の水線が硯を斜めに横断し、墨堂には微細な青花があらわれています。
意匠は、古代の青銅器の現れる、饕餮文を硯頭にあしらい、硯縁に浅い縁取りを添えています。饕餮(とうてつ)は、古代中国の青銅器に用いられてきた、空想上の怪物です。後代、妖魔を食らうということから、魔除けの意味としても用いられてきました。
青銅器に用いられる饕餮を、硯に用いることで、硯に神器としての意味を与えます。青銅器は、鼎に代表されるように、中国の古代王朝で用いられた祭器です。鼎が地中や河中から出現することは、支配者の人徳や王朝の正当性を天が認めたとする、瑞兆であるとされました。その青銅器の愛好には、古(いにしえ)の聖天子の徳を慕う、という想いが込められます。
王朝時代の文人士大夫達は、青銅器を文房に飾り、儒教的な倫理観の象徴として、これを重んじてきたのです。
また、饕餮文は清朝初期の官作硯にも多く用いられ、この小さな端渓硯も、そのような清朝の官作を意識した意匠となっています。
饕餮文の刻線は、古い端渓の作硯に見られる、やわらかな線曲線で彫られていますが、繊細ななかにも力強さが発揮され、青銅器に現れた文様の雰囲気を硯材の上にかもし出しています。端渓伝統の、すぐれた作硯技術の現われと言えるでしょう。
また、この浅い刻線は、使い込んで墨と馴染むことで深みを増し、明瞭かつ古雅な味わいを帯びて行きます。
墨堂から墨池にかけては、傾斜もって連続しており、小さいながらも比較的多くの墨液を湛えることが出来る構造となています。墨縁は、古端渓に見られるように浅く落とされ、上品で瀟洒な表情をみせています。
小さな良質な墨を磨って用い、仮名や水墨画、写経などの小字を書かれる際に、丁度良い大きさです。
良い墨を使って長年使用することにより、風合いを増してゆくでしょう。
定価
54,000円(内税)
販売価格
54,000円(内税)
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