新老坑氷紋雲鶴小硯

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縦:9.5cm   最大横幅:7.5cm   厚さ:1.2cm

※本品は天然の端渓硯であるため、寸法や石紋には若干の個体差が生じることをあらかじめご承知おきください。

石色は端渓硯の特徴である落ち着いた青紫色を基調とし、深みのある色合いの中に上品な艶がひそんでいます。硯面には数条の金線、水線が走り、淡い氷紋凍が認められ、この石が老坑の眷属である証を静かに物語っています。さらに水に浸せば、微細な青花が浮かびあがり、硯材の温潤さを表しています。硯背は手仕事の温もりと石の素顔を生かした、誠実な仕上げとなっています。

石質は新老坑の名にふさわしく、指でなぞれば吸い付くような温潤な手触りと緻密さをあわせ持ち、その稠密で鋭い鋒鋩は、和墨はもとより硬質な唐墨や古墨に至るまで、あらゆる墨を軽快に発墨します。墨を磨るたびに、滑らかで艶やかな墨液が得られ、筆の運びを心地よく支えてくれることでしょう。 硯面はゆるやかな凹面をなし、硯頭に設けられた墨池は、深すぎず浅すぎず、適度な容量で墨液を湛えるのに便利な形状となっています。写経や小楷、あるいは寸簡の手紙をしたためるにも、この上なく適した大きさと設計と言えます。

意匠の主題は「鶴と雲」——古来より長寿と瑞祥の象徴として語り継がれてきた霊鳥・鶴と、天を自由に漂う雲を組み合わせた、まことに縁起の良い図柄です。鶴は千年の命を持つとされ、その優雅な姿は清浄・高潔・不滅の象徴として、東洋の絵画や工芸において格別に珍重されてきました。また雲は、天の気が凝って生じるものとされ、瑞雲(ずいうん)は吉兆の訪れを告げるものとして、古来より慶事に用いられてきた吉祥のモチーフです。

本品においては、硯頭に雲井から一羽の鶴が悠然と羽を広げ、周囲を幾重もの流麗な雲が取り巻く構図となっています。鶴は天を見渡すように首を伸ばし、気高い品格を漂わせ、また雲は曲線を交えながらも重厚すぎず、軽やかな浮遊感をもって硯面に刻まれ、鶴の神々しさを一層引き立てています。

この鶴雲の図像は、中国古来の神仙思想や道教の世界観を色濃く反映したものであり、単なる装飾を超えて、使用者の長寿と平安、そして精神的な高みへの憧れを託した深い意味が込められています。また「雲に乗る鶴」は俗世を離れた仙人の姿を連想させ、書や絵画に親しむ文人たちが理想とした、清雅で俗塵を超えた境地を象徴するものです。

彫りの手法は、清朝期の名端渓硯に通じる、薄く浅い浅刻線を駆使し、鶴の羽根の一本一本、雲のたなびく様子までもが、手彫りならではの繊細な線遣いで生き生きと表現されています。近年の機械彫りには決して真似のできない、温かみと格調の高さが随所に感じられ、見る者の心を穏やかに慰めることでしょう。

端正でありながら優美なこの意匠は、机辺に置くたびに、清らかな風が吹き抜けるようなひとときをもたらしてくれます。良き墨を選び、長年にわたりご愛用いただければ、硯面には使い手の手触りが染み込み、石肌の艶と風合いはますます深まっていきます。まさに、一生の伴侶としておすすめできる逸品です。

※木製の箱入りにてご提供いたします。
販売価格 52,000円(内税)
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